人は家庭や会社、地域コミュニティなど、人が集まる場所に所属すると、何かしらの自分の役割を演じることがあります。
ありのままの自分でいられず、役割を演じないといけない、という思い込みが強ければ強いほど、現実の生活でも心理的な問題を作り出すことが増えていきます。
本日は、「しっかり者のいい人」を演じている女性のケースについてお話しします。
幼稚園生の娘を持つRさんは、こんな思いに悩まされていました。
「私は他のお母さんたちにどう思われているんだろう」
「私は変な人だと思われてはいないだろうか」
そして、ママ友同士が話している姿を見ると、
「自分のことを話されているんじゃないか」
などと疑心暗鬼になり、苦しくなってしまうのです。
先日、電車の中で男性上司と女性部下と思われる方々の会話が耳に入ってきました。
「さっきの説明よかったよ」
「いえいえ!とんでもないです!○○に関する説明が不十分でした!」
「でも、お客さんも納得してたから、よかったと思うよ」
「いえいえ!私なんて全然だめです!」
こんな調子で、女性の方は上司の方に褒められても何度も謙遜していかに自分ができていないかを主張していました。
あなたもこの女性のように上司からの褒め言葉を受け取れなかったり、過剰に謙遜したりしていませんか?
「自分はいつも優秀な人と比べられる」「他者に自分の居場所を奪われそうでつらい」……こんな不安に駆られている方はいらっしゃいませんか?
技術が進歩し社会環境が目まぐるしく変化する中で、仕事に必要なスキル水準は上がり続け、コミュニケーションのとり方如何で能力や評価が測られるなど、私たちは常に不安と戦いながら働き続けているともいえます。
人生はいいことばかりではありません。うまくいかないことが続いたり、物事が思うように運ばなかったりすると、誰もが落ち込んでしまうものです。
それが仕事の場面ともなると、業績の成果や上司の評価となって現れることもあり、不安に押しつぶされそうになったり、「もうダメだ、自分にはできない」と絶望の淵に立たされたような気持ちになることもあるでしょう。
このような自己否定を起こさせる気持ちはいったいどこからくるのでしょうか?
子どもの頃、遠足や楽しみにしていた旅行の前の晩に眠れなかったという経験をお持ちの方も多いことでしょう。
興奮しすぎたり試験の前日に寝付けないといった一過性不眠と違って、明日の仕事のことを考えるだけで不安になり、眠れないといった不眠の症状に悩む人が近年急増しています。
仕事の会議や打合せなど、また普段のコミュニケーションで言いたいことがあるのにはっきり言えない。
はっきり言えずに回りくどい言い方をして結局わかってもらえない、
言っても無駄と思って言うことを諦めてしまう、
言ったら面倒なことになりそうな気がして言えなくなってしまう、
言いたいことが言えず、いつも損な役回りばかり引き受けてしまう、
そんなことありませんか?
仕事でミスをしたり、思うように仕事がはかどらなかったり、
そんな時、いつも自分を責めてしまう、そんなことありませんか?
自分なりに仕事は頑張っているのに、少しでもミスをすると、
「どうしていつも自分はだめなんだろう」
「がんばってもがんばっても、これくらいしかできない」
「こんな自分はいないほうがいいのではないか?」……と思ってしまう。